33〜36話


第33話 「うぬぼれ」

医女試験に合格し、修練生となったチャングム。これから半年の間で50の試験を受け、成績のよい順に配属が決まることになる。不可を3つとると落第となり、医女の資格を得ることが出来ない。チャングムはさっそく、教授シン・イクピルから不可を一つ与えられる。一方、もう一人の教授イ・ヒョヌクは、経典を読み解いたチャングムの聡明さに着目する。宮廷に戻り、司憲府(サホンブ)の監察官の任に就いたチョンホ。同士を集めようと、理想を同じくしたかつての仲間を訪ね歩く。また、トック夫妻は以前のように宮中に酒を納めることが出来るようになる。シン教授の授業で医学の知識の豊富さを披露するチャングム。それでもシン教授のチャングムへの厳しい評価は変わらない。一方のイ教授はチャングムを呼び出し、修練生全員で宴会に出席するよう言い渡す。宴会の日はシン教授の実習と重なっていた。

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チャングムは指導教授シン・イクピルから授業も始まらぬうちに「不通」の評価をつけられる。半年の間、50種類の試験を受けて「不通」が3つあれば無条件に落第となってしまう。「不通」をつけられた理由は、試験前日に食瘧の少年を治療したことにあった。
少年の父親は軍功が認められて平安道観察使から中央に抜擢されたキム・チソンその人であったため、チャングムの治療行為は内医院に知られていたのである。医員でないにも関わらず、治療行為を行って特別なはからいを受けようとしたチャングムを、「必ず落第させる」と宣言するシン・イクピル。キム・チソンが何者であるかすら知らなかったチャングムが、「特別なはからい」目当てに少年を治療するはずなどなかったのだが、状況的にはそう取られても仕方がなかった。
本格的に授業が始まり、シン・イクピルの高度な問いに答えられずおろおろする修練生たち。チャングムにとってはさほど難しい問題ではなかったのだが、彼女には答える機会すら与えられない。
堪りかねたチャングムは、キム・チソンからの見返りを期待して治療したのではないことを説明し、何とか許して欲しいとシン・イクピルに頼み込む。そんなチャングムにシン・イクピルは「何を反省しなければならないのか」と問う。チャングムは迷うことなく「資格を持たぬ身で治療を行ったこと」だと応えるのだが、シン・イクピルは冷淡な態度を変えない。「お前は医員になってはならぬ人間だ。医員としての基本的な品性に欠ける」チャングムにはシン・イクピルの真意が理解できなかった。
チャングムがシン・イクピルに嫌われていることが判り、他の修練生はチャングムを敬遠し始める。自分も巻き添えを食っては堪らないからだ。何人かで組になってお互いに教え合うことになっても、誰もチャングムを仲間に入れようとしない。仕方なく、チャングムは自称劣等生のシンビと一緒に勉強することにする。
だが、経典の授業が始まると、チャングムの立場は一転する。元々書物が好きで、宮女としての教育も受けているチャングムにとって、医女の基礎教養程度の内容は簡単にこなせてしまう。経典の授業を受け持つイ・ヒョヌクはチャングムを気に入り、ついには自分の代わりに授業を任せてしまうのだった。シン・イクピルは中人身分だが、イ・ヒョヌクは両班である。例えシン・イクピルに嫌われていようが、イ・ヒョヌクに気に入られてしまえば帳消しになったようなものだ。自ずと、他の修練生たちの態度も変わろうというものだ。
薬剤を見分ける試験においても、チャングムは並外れた知識で「大通」を取る。それはごく基本的な事項しか答えることができないシンビとは対照的だった。
次第に他の修練生たちのチャングムを見る目も変わり始め、夜の間に進んで彼女の自主講習を受けるようになる。
一方、何かと世慣れた風を装うチョドンは、チョボクを誘ってイ・ヒョヌクに気に入られるための付け届けを持って宿舎を出て行く。チョボクは「両班なのにこんな銀粧刀でいいの?」と、不安を隠せない様子だ。「だって他にないじゃないですか」と答えるチョドン。
その頃、何処とも知れぬ山中に何かを爆破している男たちの姿があった。その男たちの一人に近寄るミン・ジョンホ。「久しぶりだな」「兵器の開発は上手く行っているのか?」「ああ、順調だ」ミン・ジョンホはチョ・グァンジョが処刑された際に下野したかつての仲間たちを再び糾合してオ・ギョモに対抗すべく、各地を巡っていたのだ。だが、彼の誘いは断られてしまう。
とある書堂(ソダン 日本の寺子屋のようなもの)で子供たちを教える老人を説得するミン・ジョンホ。老人はかつての彼の師であったが、やはり色よい返事は得られない。
誰もが今の宮廷に絶望していた。彼らには、ミン・ジョンホの内部から改革するという考え方を受け容れることはできなかったのだ。
漢陽に戻り、ミン・ジョンホは更にチョン・ウンベクにも協力を要請する。だが、彼もまた政争に巻き込まれることを嫌ってなかなか首を縦に振らない。キム・チソンの求めに応じて漢陽に戻っては来たものの、ミン・ジョンホの進む道は険しく孤独だった。無論、オ・ギョモ一派も彼に対する監視を怠ってはいない・・・。
その頃、カン・ドック夫婦はある決意を胸にチェ・パンスル邸に向かっていた。「誇りは?」「捨てましょ」「自尊心は?」「それも捨てましょ」チェ・パンスルの反感を買ったために仕事が激減していた二人は、もう一度仕事を回してもらうようご機嫌伺いに行っていたのである。こまごまとした雑用や力仕事を進んで引き受けるカン・ドックだが、さしたる効果は上がらない。
だが、その帰り道にミン・ジョンホと出会った二人は、彼から王がカン・ドックの保養食を食べたがっているという話を聞く。熟手としての仕事が再び戻ってくるのだ。加えて、チェ・パンスルからも遊郭になら酒を納めさせても良いと言われ、二人は有頂天になる。
一方、ミン・ジョンホはミン・ジョンホで、チャングムが再びカン・ドックの家に住むと知り、両班の身分でありながら喜々としてオンドルの修理を手伝い始める。あとはチャングムさえ無事に医女になってくれれば・・・そう願わずにはいられない三人であった。
チャングムの置かれた状況は決して楽観できるものではなかった。薬物と毒に関する筆記試験で、シンビを除く全員が「不通」だったのだ。修練生たちは、シンビがシン・イクピルと何か関係があるのではないかと勘ぐり始める。誰が見ても一番優秀なのはチャングムで、シンビではない。
チャングムは再びシン・イクピルに不合格の理由を尋ねる。シン・イクピルの答えは、チャングムには医員が持つべき「怖れ」が無いというものだった。だが、チャングムにはその意味がわからない。かつてチャンドクの命を危険に晒した経験から、その「怖れ」は学んでいると考えていたからだ。
チャングムはシン・イクピルの怒りが解けるまで雑用全般を自主的に引き受け始める。それは幼い日、訓育尚宮の怒りを買って授業を受けさせてもらえなかった時の思い出と重なっていた。だが、あの時と異なり、シン・イクピルはチャングムに対して怒りの感情を持ってはいなかった。その言葉通り、チャングムは医員としての資質に欠けると考えていたのである。
そんな時、イ・ヒョヌクがチャングムを呼び出し、シン・イクピルのつけた二つの「不通」は消してやると言う。喜ぶチャングムだったが、修練生たちを宴会の接待要員として連れてくるように命じられて顔色を変える。彼がチャングムを気に入っていたのは、妓生の代用として十分な美貌と教養を持っていたからでしかなかった。彼にとっては医女としての技術が身につこうがつくまいが、どうでも良かったのだ。
チャングムとシンビ以外の修練生たちはイ・ヒョヌクに気に入られるチャンスと考えて、シン・イクピルの授業を欠席して宴会に行ってしまう。チャングムとシンビ、そしてシン・イクピル。三人だけの授業が始まる。
シン・イクピルは二人を病舎に連れて行き、に実際の患者を診察して処方箋を書くよう命じる。
チャングムはたちどころに三人の患者の病気を特定してしまうが、シンビは十日ほどかけなければ判らないと言う。シン・イクピルは二人に十日の時間を与え、答えを出すように命じる。このシン・イクピルの対応を見て、チャングムも何かシンビが特別扱いされる理由でもあるのではないかという疑念を持たずにはいられなかった。
宴会を終えて戻ってきた修練生たちは、シン・イクピルから修練場への立ち入りを禁止される。だが、それを知ったイ・ヒョヌクが黙っているはずはない。位階は同じでもイ・ヒョヌクは両班なのだ。
 シン・イクピルはかつて誤診により高官を死なせたことがあった。イ・ヒョヌクは周囲の嘆願のおかげで現在の地位に留まっていられたことを持ち出し、自分に逆らうなと叱りつける。修練生は引き続き教育を受けることを許されたが、それは同時に医女が医女として生きていくことの否定でもあった。
独り立ち尽くすシン・イクピル。彼もまた孤独な戦いの場に身を置いた人物であった。
他の修練生も加わり、三人の患者の診察は続けられた。何度も同じ事を繰り返し尋ね、患者に迷惑がられながらも細かな記録を残して行くシンビ。そのやり取りから、チャングムは自分が同じ症状だと診断した1番目の患者と2番目の患者は異なる病因を持っており、異なる病気と診断した1番目の患者と3番目の患者は症状が異なるが同じ病因を持っていることに気づく。

 期限が過ぎ、シン・イクピルの前で診察結果と処方を述べる修練生たち。だが、正解を導き出せたのはチャングムとシンビだけだった。チャングムは自分の知識に溺れてシンビのように謙虚に全体を見ようとしていなかったことを悟り、そのことをシン・イクピルに告げる。

だが、シン・イクピルはまだチャングムが本当に自分に欠けていたものを悟ったかどうか疑わしいと考えていた。彼はもう一度薬剤と毒を区分する筆記試験を課す。既にチャングムに付けられた「不通」は二つ。ここで合格できなければ落第してしまうのだ。
果たしてチャングムは正しい答えを見つけることができるのだろうか。

第34話 「王の怒り」
修練生仲間シンビの真しな態度から、シン教授の教えの意図するところを理解したチャングム。決意も新たに、医女の修練に取り組む。そのころ、チェジュドからチャンドクがやって来て、トックの家に滞在することに。半年後。修練終了を翌日に控え、イ教授の試験結果が発表され、二人の落第者が出る。宴会に出席しなかったチャングムとシンビだ。チャングムはシン教授からつけられた不可2つとあわせて3つ目の不可、また今まで不可のなかったシンビは一度に3つの不可をつけられていた。シン教授はイ教授に抗議するが、それぞれの担当評価に口をはさむことは出来なかった。翌日、医女修練の成績が発表される。
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知っている限りの薬材と毒材を書き出せとの試験に、チャングムが出した答えは「薬材と毒材は区分できない」というものであった。薬にはそれぞれに効能があり、適切に使わなければ毒にもなる。また、一般的に毒とされているものであっても使い方によっては薬になる。前回の試験でシンビだけが合格だったのは、彼女一人が薬材の効能と副作用の両方を書いていたからだったのだ。

「うぬぼれが断定を生み、それに人の命がかかる。名医などいない。謙虚に病を知ろうとする医員。謙虚に人を知ろうとする医員。謙虚に自然を知ろうとする医員。謙医だけが医員なのだ」シン・イクピルの言葉に、今一度自らの姿勢を反省するチャングムであった。

チャングムが落第を免れることができことを他の修練生も祝ってくれる。チャングムはシンビに改めて礼を言うのだが、シンビは「自分は未熟だから」と言うばかりだ。シンビはチャングムとはまた違った種類の、優れた資質の持ち主だった。

その場を通りかかったシン・イクピルを見つけ、追いかけて礼を述べるチャングム。だが、シン・イクピルの言葉はなおも厳しい。「わかった気になるな。人間はそう簡単には変わらん。聡明な人間はなおさらだ。医員には聡明な人間よりも深みのある人間がなるべきだ。深みを持て。骨に刻み、血に流れるほどにしろ」。
シン・イクピルが立ち去った後、チャングムはシンビが医女になろうとしている理由を聞く。シンビは貧しい家に生まれ、体が弱かったにもかかわらず満足な治療を受けることができなかった。だが、ある時監営(行政・司法・軍事を司る地方の役所。大邱の観光名所になっている慶尚監営公園は、慶尚道の監営跡地である)に立ち寄った医員の治療を受けて健康を取り戻すことができたのだった。そして、その医員は一切の謝礼を断り、シンビに向かって「感謝しているなら、世の中にそのお返しをしろ」と言い残して去ったのだという。シンビはそのために医女になろうとしていたのだ。「深みを持て」というシン・イクピルの言葉を噛みしめるチャングム。
修練生たちは出産の実習に向かう。いつも調子のいいチョドンは、自分の経験を自慢げに語るのだが、いざ現場に行くと早々に失神してしまう。倒れたチョドンを邪魔にならない場所に引きずり出しながらチョボクが一言。「・・・また騙されたわ」チャングムは持ち前の旺盛な好奇心も手伝ってか、そんな騒ぎをよそにひたすら目を凝らしている。
厳しい修練の日々は続く。医書を読み、大勢の怪我人の応急処置を手伝い・・・。それでも着実に半年間の修練期間が終わる日は近づいて来ていたのである。
そんなある日、チャングムの元に客人が訪れる。呼び出しを受けて出てきたチャングムを待っていたのはチャンドクだった。
チャンドクの泊まる宿で久しぶりにゆっくり語り合う二人。「いつまで経っても戻って来ないから、医女の採用が行われることを報せに来た」と嘯くチャンドクに、チャングムも心なしか安心した表情を見せる。チャンドクもまた元気そうなチャングムを見て安心したようだ。「私でさえ修練期間中はおろおろしてたのに。病気としか思えないわね」
だが、師との再会を喜んだのも束の間、チャンドクを訪ねて来たチョン・ウンベクから、チャングムは思いもよらぬことを知らされる。チャングムが不通三つで落第したというのである。落第したのはチャングムとシンビのみ。イ・ヒョヌクが酒宴に来なかった二人を落第させたのだ。
シン・イクピルは医女を妓生代わりに使ってはならぬという王命に背く行為であると抗議するが、イ・ヒョヌクがそんな抗議を聞き入れるはずがない。まして、彼が素養・教養の教育を任されている以上、素養が欠けていたから不通にしたまでだと言われてしまえばそこまでだ。イ・ヒョヌクは誤診で高官を死なせたことを王に報告されたくなければ逆らうなと言い捨ててその場から立ち去ってしまう。二人のやりとりを立ち聞きしていたチャングムは、シン・イクピルもまた旧弊の中で苦闘していることを知る。
思い余ったチャングムはミン・ジョンホに相談しようとするのだが、彼はこのところ不在がちだという。頼る相手もなく途方に暮れるチャングム。
そして合格発表の日。チャングムとシンビに不合格が告げられる。だが、不合格なのは二人だけではなかった。修練生全てが不合格になっていたのだ。シン・イクピルが講義を欠席して酒宴に行った修練生全員に不通を与えたのである。医術の採点に関してはシン・イクピルが全権を与えられており、イ・ヒョヌクも異を唱えることができない。
合格者がいないとの報告を受けた内医院の都提調(トジェジョ 主要官庁の最高責任者)は、自らの立ち会いの下で再試験を行わせる。例年以上に修練生の水準は高く、特にイ・ヒョヌクが不通をつけたチャングムの教養の高さが都提調の目にとまる。
不審に思った都提調は、シン・イクピルとイ・ヒョヌクにチャングムにつけられた不通の理由を尋ねる。シン・イクピルは彼女の傲慢さを戒める意味で、資格なしに治療行為を行ったことと、薬材と毒を区分してしまったことに対して不通を出したと説明するが、イ・ヒョヌクは自分の言うことを聞かなかったから、という苦しい説明しかできない。最初の診断試験において、チャングムとシンビを除く全員にシン・イクピルが不通をつけていることと併せ、都提調は真相に気づく。
王にことの顛末を報告する都提調。医女を妓生代わり使った者がいると知り、王は激怒する。オ・ギョモは娼妓(公娼)を廃止した上医女も使えぬのでは臣下の志気が下がり、婦女子に非行を働く輩も出ると抗弁するが、それは燕山君時代から始まった悪習であり、父成宗の時代にはなかった制度であると王は更に怒りを募らせる。
男女が峻別された朝鮮で、女性の健康を守るために設けた医女制度が骨抜きになるということは、民の不利益であり、大妃を初めとする王族の女性にとっての不利益でもある。イ・ヒョヌクは罷免され、酒宴に医女を駆り出すことも、求めに応じることも禁止する法律を作るよう王命が下される。
チョン・ウンベクから事情を聞いて大殿の前で都提調を待っていたミン・ジョンホもそのことを知って喜んぶ。チャングムは医女になれるのだ。
改めて合否判定が行われ、遂に修練期間が終わりを告げた。合格した者には医簿が手渡され、配属先が告げられる。ある者は恵民署(貧しい民の医療を司る機関)の医女に。またある者は地方の監営所属の医女に。そして合格できなかった者は再び故郷へ。
チャングムとシンビには医簿とともに漢符(王宮の通行許可証)が手渡された。二人は内医院に配属されたのだ。
自らの役目を終え、一人立ち去るシン・イクピル。チャングムは彼の荷物を持ち、短い距離ではあったが付き従うようにして共に歩く。別れ際、チャングムの笑顔に笑みを持って応えるシン・イクピルに彼女は深々と頭を下げる。ハン尚宮・チャンドクに続く三人目の師に。
互いに別れを告げ合う修練生たち。チョボクはチャングムとシンビに「頑張ってその座を奪ってみせる」と宣言する。割って入るチョドン。「それは私ですよ」「出産を見て倒れたくせに」「あれは体調が悪くて・・・」一方で、再び地方の監営に戻ることにはなったものの、医簿があれば子供たちを飢えさせずに済むと喜ぶハンビのような医女もいる。

不合格になったシウンは、再び奴婢に戻らねばならないと泣き出してしまう。慰めるチョドン。「せっかくみんな仲良くなったのに別れるなんて残念ね」と目を潤ませるチョボク。「ちょっと、あんたまでそんなこと言わないで!」そういうチョドンも今にも泣きそうだ。悲喜こもごものうちに彼女たちはそれぞれの道を歩み始めるのだった

ミン・ジョンホは修練場から出てきたチャングムに結果を訪ねるが、チャングムの表情は暗い。不安になるミン・ジョンホ。だが、そっと差し出したチャングムの手には漢符があった。チャングムにからかわれたのだ。「良かった!」破顔するミン・ジョンホ。
日暮れの道をチャングムとミン・ジョンホが連れ立って歩いている。「嬉しいですか?」「悲しいです」「悲しいのですか?」「嬉しいです」「怖いですか?」「わくわくします」「わくわくしますか?」「怖いです」笑い出す二人。
万病を治し気力を補うという「神仙固本酒」を売るトック夫婦。トックの口上が効いたのか、客の反応も上々だ。そこにチャンドクが通りかかり、ただ万病を治すだけでなく、若返りの効果もあると言い添える。チャンドクはトック夫妻の家に泊まっていたのだ。彼女の口添えを喜ぶトック夫婦だったが、チャンドクの言葉はそれで終わらなかった。「・・・これが本物ならね」人参が入っていないから、ただの「固本酒」だと客に教えてしまうチャンドク。一応「味はいいですから買って損はないですよ」と言い添えはするものの、その酒を買おうとしていた客は帰ってしまう。
トックの妻は怒ってチャンドクを追い出そうとするが、チャンドクも一筋縄では行かない。金を払うなら出て行ってあげてもいいと逆に彼女をやりこめてしまう。それを見て面白がるトック。「あの女、お前より凄いな。驚いたよ」
チャングムがミン・ジョンホと連れだって戻ってきて、トック家は喜びに溢れかえっていた。だが、チャンドクはチャングムに「期待しては駄目」と言う。宮中での医女の地位はチャングムが思っている以上に低い、と。
そしてチャンドクはもう済州島に戻る意志がないことを伝える。復讐が終わり、身分も回復した今、済州島に戻る必要はもうないのだ。だからといって、宮中に戻る気もないというチャンドクだが・・・。
ミン・ジョンホもまた医女として宮中に戻るチャングムが辛い思いをすることを心配していた。だが、チャングムは既にはっきりとした意志を固めていた。「身分の低い医女として宮中に戻り、恨みを晴らす方法を毎晩考えました。方法は一つだけしかありません。運や実力が伴わなければ、命を懸けることになるかも知れません。でも、目標に辿りつくまではどんなことにも耐えてみせます」
初出勤したチャングムとシンビは内医女ピソンに迎えられる。彼女の言葉もまた厳しかった。二人はまだ医女ではなく、雑用係に過ぎず、1年間の修練期間中に不通が三つつけば恵民署に送られ、それでも駄目なら地方に戻されるのだ。身分の高い患者の治療を見学し、余り重くない病状の宮女の治療を担当するのが彼女たちに与えられた仕事である。二人の世話係になったウンビも厳しい態度で二人に接する。
早速二人を宮女の宿舎に仕事に行かせるウンビ。だが、二人を送り出したあと、彼女の態度は豹変する。「嬉しい!やっと自由だわ!この日をどんなに待ったことか。・・・新米がみんな通る道よ」
宿舎での仕事とは、若い宮女の顔の手入れだった。医女は宮女の下女のように使われていたのである。憤慨して帰ろうとするシンビに宮女は癇癪を起こしてしまう。だが、チャングムは落ち着いた表情で従うのだった。
その帰り途、チャングムはシンビに自分がかつて宮女だったことを告げる。
医女がどのように扱われるかを目の当たりにして育ったチャングムが、自分がどのような立場で宮中に戻るのか、知らないはずがなかった。それでも敢えて医女となったチャングム。シンビは彼女の後ろ姿をただ見つめるばかりだった。
いつの間にか若い宮女たちはチャングムの教える美容法を知りたがって彼女の元に集まるようになっていた。

 「知っていて医女になったのね。どうして?」宮女の宿舎からの帰り、シンビはチャングムに尋ねるが、答えは返って来ない。

その夜、中殿が急病で倒れたとの報せが内医院にもたらされる。急いで打ち合わせに向かうチョン・ウンベクと医女たち。会議室には内侍府と内医院の関係者が集まっていた。やや遅れて入室する水刺間最高尚宮。
その姿を見てチャングムは目を見張る。水刺間最高尚宮はクミョンだったのだ。そして、クミョンもまたチャングムの姿におののく。
 二人の運命は再び深く絡み合おうとしていた。


第35話 「疑惑」
シンビとともに、晴れて宮中の医局、内医院(ネイウォン)に配属されることになったチャングム。これから1年は見習いとして、正式な医女になるための修練を重ねることになる。そこへ召集がかかる。皇后に流産の兆しが現れたのだ。召集の場で、チャングムは水剌間(スラッカン)の最高尚宮(チェゴサングン)となったクミョンと顔を合わせる。医女見習いとして皇后に薬を持っていったチャングムはまた、いまや女官長のチェ尚宮とも再会する。一方、特別尚宮(とくべつサングン)になったヨンセンやミン尚宮(サングン)とも再会を果たしたチャングムは、その後の宮中の経緯を教えてもらう。チョンホは上司の左賛成(チャチャンソン)の元、オ・ギョモ一派の一掃を目指し動き始める。中宗が左賛成(チャチャンソン)の提案に同調気味なことから、権力闘争は激しさを増していた。危機感を募らせるオ・ギョモ一派。チョンホは改革を推し進めるため、またチャングムの身を守るため、オ・ギョモに対し先手を打つ。
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皇后に流産の兆しが現れている事から、医務官、ネシブの長官、水剌間の最高尚宮などが召集された。少し遅れて駆けつけた水剌間の最高尚宮は、なんとクミョンだった。思いがけない再開を果たしたチャングムとクミョン。互いに一言も言葉を交わさないままその場を離れるのだった。皇后の診察を担当している医女ヨリがすでに退出していた為、呼び戻すまでの間、チャングムたちは皇后の様子を見る事になった。お腹が張った感じがするという皇后の様子を見た医女がすでに出血している事を発見、急いで医務官を呼びに行く。皇后におちついて息を吐くように指示をしていたチャングム。そこへ女官長が駆けつけてくる。「一体どういうことなの?」と見ると皇后の傍らに居る医女がチャングムであったため、「どうしておまえが。。」と思わず口から出てしまう。皇后の気持ちを落ち着かせる事が大切だと、チャングムが女官長に息を吐き続けるように申し上げてくださいと要請する。呼び戻されたヨリは皇后の様子を見て、医務官のウンベクにすでに流産してしまったと告げる。皇后殿から表へ出た女官長にヨンノが近づき、「皇后様は流産なさいましたか?上手く行きましたね」とほくそ笑むのだった。(どうやらチェ女官長らが何か仕組んだ様子)
チャングムは思わぬ再会に少なからずショックを覚えた。奴婢と言う立場の医女である自分。仇であるチェ尚宮は女官長に、クミョンは水剌間の最高尚宮になっていたのだ。チャングムはクミョンに呼び出される。クミョンに向って『最高尚宮、おめでとうございます」と言うのだった。更に「お幸せですか?その座を手にするために大事なものをすてたのですから。」と言う。クミョンは「お前、ここには居られないよ」と言うのだった。その場を去るチャングムは次に女官長とすれ違う。女官蝶は「済州島に居るはずのお前が何故ここにいる?」と問われるが、一言もこたえずその場を去る。そこへ通りかかったヨンノはチャングムをみて驚愕、女官長のもとへ駆け寄るのだった。再会したら言いたい事が沢山あって、何度も練習したのにいざとなったら何の役にも立たなかったとハン尚宮に報告するチャングム。チェ女官長は『母もしぶといが娘もしぶとい。毒を飲ませても死なずに娘を宮中に送り込み。奴婢に落として済州島へ流しても医女担って舞い戻る。この、不思議な縁を断ち切るにはどうしたらいい。。』と言う。クミョンは一言「関わったのが間違いでした」と言うのだった。
チャングムは女官にヨンセン、そしてミン尚宮らが今何をしているのか尋ねるのだった。女官もヨンセンの事はしらなかったが、ミン尚宮は今王殿に居るという。チミル尚宮になったとの事だったが、用は王様の便の世話をする係りだった。再会を喜ぶチャングムとチャンイ、ミン尚宮だったが、チャングムがヨンセンの事を尋ねると二人とも顔を曇らせるのだった。チャングムが済州島へ流され、ハン尚宮の死が知らされた後、寂しさで王様に献上されていた犬と遊びながら泣いていたヨンセンが王様の目にとまったはいいけれど以来二度と王様のお越しが無い為見ていても哀れなほどだというのだった。また、当時の女官長もチェ尚宮の陰謀で宮中から追放されてしまったのだという。ヨンセンは毎日毎日、チャングムの無事を祈っていた。その様子を見て他の女官たちは王様のお越しを願って祈願しているのだと、あざけっているのだと言う。ヨンセン付きの女官たちもヨンセンにつらく当たるのだった。再会を喜んだチャングムとヨンセンだったが。ヨンセンはチャングムにくれぐれも気をつけるように忠告するのだった。「チェ一族は何をするか分らない人たちだから」と。チャングムが宮中に戻ってきた事を知ったチェ・パンスルはチャングムが謀反人であると告げればすむ事だろうというのだが、チェ女官長は、今はそんな雲行きではないので簡単には行かないという。折も折、王に対して意見書が出され、優れた人材であれば以前謀反人の疑いで島流しされたチョ・グァンジョの一派であっても登用するべきだと言う意見だった。当然オギョモは自分の息がかかった人材を登用すべく反対するのだが、王もチャ・チャンソンの言う地方の役人が国防に感心のある人材を登用するべきだと言う意見に同意するのだった。
自分の意のままに事がすすまなくなって来ている為、オギョモらも至急策を講じなければならないと言うのだった。ミン・ジョンホもチャングムに勤めがおわったら自分の屋敷によって欲しいと言う。カン・ドックも読んであるというのだった。自分とチャングムがオギョモに狙われそうだというのだった。すでにチャングムがチェ女官長、クミョンに会ったと聞いたミン・ジョンホは事を急がなくてはならないと言う。さて、ネイウォンには新しい医務官が移動でやってきた。なんと、シン・イクピルだった。皇太后の容態も思わしくない上、皇后の流産で王様の心痛は計り知れない。一丸となって容態回復に当たるようにと医局長チョ・ユンスは言うのだった。チャングムは女官長と医局長チョ・ユンスがなにやら話しているのを目撃する。この時女官長からオギョモらが料亭で待っていると言う誘いを医局長にしていたのだった。宮中から下がったチャングムはミン・ジョンホの屋敷へ行くと、カン・ドックもいて、あることをするので手伝って欲しいとミン・ジョンホに言われ、付いて行くのだった。
一方、料亭ではオギョモ、パク・プギョム、チェ・パンスルが密談をしていた。そこへ、チャ・チャンソンから一席設けたいとオギョモを初め、パク・プギョムチェ・パンスルに使いが来た。チャ・チャンソンは美味しくて体にも良い料理を振舞って、自分に協力をする様、オギョモに提案するのだった。しかし、オギョモがそれに応じるわけも無く、自分のためになるとは思えないと固辞した。それを受けてチャ・チャンソンは料理の種明かしをする。美味しくて体の為にもなる料理、オギョモも美味しいと満足顔だった料理、それは硫黄のアヒル料理だった。この事件当時は王様もチョ・グァンジョに疑問を持っていたが、今日の様子からしても、王様の考えが変わってきている事は明白。今回は易々と負けたりしない。と宣戦布告するミン・ジョンホ。更に、ミン・ジョンホはチェ・パンスルを個人的に待ち伏せして、もしもチャングムの事を中傷することがあったら、宣戦布告とみなすと忠告した。
チェ・パンスルはクミョンに「これが、ミン・ジョンホを生かしておいた結果だ」と言うのだった。女官たちから信頼を得るようになっていたチャングムのもとへクミョンが現れ、自分にも足のマッサージをするように言う。「お前は医女、私は女官」と立場の違いを見せ付ける。おとなしく足のマッサージを始めたチャングムはクミョンの体調不良の箇所を言い当てる。そしてこういうのだった「気持ちを楽になさいませ」チェ女官長は医局長チョ・ユンスを呼び出し、チャングムが例の硫黄のアヒル事件の女官であると言う。チョ・ユンスは自分たちの誤診をチャングムらに濡れ衣として押し付けた事が露見する事をおそれ、今なら自分の力で宮中から追い出せるので、任せろと言うのだった。さて、皇后の容態が思ったより回復しないため、流産のショックが原因で鬱の症状が出ているのだと気を強く持つようアドバイスをするウンベクだったが。。ネイウォンの医局に集まった医務官、医女も皆で一丸となって皇后の回復に当たろうと話し合うのだった。また、医局長は医女見習いのチャングムとシンビの指導担当医務官をチェ・チュボクにすると言うのだった。女官を初め医務官全てが驚きの声をあげる。何故なのか良く分からなかったチャングムとシンビだったが。。。実際にチュボクの指導は的を外れている様に思われる二人だった。
医女たちは見込みのある見習いたちだったのにこれで宮中から追放される事間違いなしだと噂するのだった。ヨリは皇后殿へ見習いの二人をよこしてくださいと皇后の脈診の見学に来させるのだった。チャングムとシンビに皇后様のお世話をしながら脈を診て様子を観察するようにと言い残して退出するヨリ。ウンベクと様子を話し合うが、気鬱になっているのが回復が遅れている原因であるというヨリ。そこへ医局長が怒りをあらわにチャングムたちを探してやってくる。とんでもない治療をしたと言うのだ。薬房に居る二人を見つけた医局長は処方した薬で更に容態が悪化した事を叱りつけていると、そこへ別の使いがやってきて、シンビが打った針で更に腰痛が悪化した女官が居る事を告げに来る。二人に対して修練が足りない為、宮中から出てゆくようにと言う医局長。チェ・チュボクは自分はきちんと指導したのにと平気で嘘をつく始末。そこへ皇后殿から皇后が気絶したと知らせが来る。慌てて部屋から出てゆきながら、チャングムたちに地方へ行くよう言い残す医局長だった。シンビはチャングムにどうしよう。宮中から追い出されてしまった。というがチャングムは皇后の脈診をしていて、おかしいと思わなかったか?と言うのだった。シンビも実は自分もなんだか良くは分からないが疑問を持ったという。チャングムは脈診とヨリのしんだんが少し外れている様だと言う。そこへ、ヨリが現れたのだった。

第36話 「誤診」 

流産した皇后はその後回復せず、治療の効果もでていない。脈診したチャングムとシンビは担当医女ヨリの診断に、今ひとつ納得できないでいた。しかし、ヨリは脈診に秀でた人物で周囲からも信頼されている医女。そのヨリの脈診から後陣痛と診断、鍼灸するが、皇后の容態はさらに悪化する。シンビはシン・イクピルに、チャングムがヨリとは別の脈診判断であることを打ち明ける。シン教授は皆の前でチャングムの見解を聞くことに。一方のヨリも自分の脈診を主張して譲らず、ヨリとチャングムの両者により、再び皇后の脈診が行われることになる。皇后の担当医官ウンベクは二人の脈診結果を受け、あらたに処方を下す。そのころチャンドクは、薬房を設け診療を始めていた。チャンドクには、まだまだチャングムに教えたいことがあるのだ。チョンホは国防に必要な新しい兵器の予算捻出策を提案。中宗の支持を得、ますます窮地に追い込まれるオ・ギョモ。対抗策にチェ女官長はあることを思いつく。

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宮中を追い出される事になってしまった事を気に病むシンビだったが、チャングムは皇后を脈診した自分の診立てとヨリの診断の違いに納得が行かない。シンビもなんか変だと思いつつもそれが何なのかという確信は無かった。シンビとチャングムが診断について話をしているとそれを聞きつけたヨリが自分のみたてについて解説をする。そして、ヨリはチャングムとシンビにどちらにしても新入りで見習いの二人が熱心な事は良いことだと言うのだった。医局でも皇后の容態について審議がなされるが流産の後の後陣痛もよくあることだと言う意見が主流を占めた。流産のショックから気鬱になり後陣痛が起こっているとの診立てに従い薬と針治療をほどこすが、皇后の容態は一向に回復する様子がないのだった。王と皇后などの食事に対する会議の場所に顔を出せないほど内医院(ネイウォン)の医局長も皇后の容態に気をつかっていた。しかし、脈診に誤りがないなら施した張り治療に効果が出るはずなのだが。。チャングムは熱心に症例がないかと医学書を熱心に調べていた。皇后の容態が改善されない事は王もとても心配し、オギョモがついに立ち上がる程の案件になっていた。
オギョモは 「万が一皇后が回復しない場合は、担当の医務官と意所は厳罰に処されるぞ。」と言うのだった。シンビはシン・イクピルに実はチャングムがヨリと違う脈診をしている事を報告する。イクピルはウンベクにこの事を告げ、医局では全員で審議がなされる中、医局長は医女見習いのチャングムの脈診について審議する事事態認めようとしない。ところがシン・イクピルは修練生の頃からチャングムの集中力は並外れた物があったという。チャングムは自分が感じた診断に対して問いただされ、皇后の脈に散脈があったと言うのだったが、散脈はベテランの医師でも見つける事が難しいといわれる。しかし、散脈があるという事は産後の後陣痛ではなく、まだ皇后のお腹に胎児が居るという診立てになるのだ。皇后は既に胎児と胎盤を流産してしまっていた為、理屈に合わない。ところが、チェ・チュボクが「双子だ!」と叫ぶ。双子であれば皇后のお腹の中にまだ胎児が残されていると言う事で、チャングムの診断にも辻褄があう。未だかつて、王族で双子が生まれた例はなく、チャングムの診断をにわかに信じる事も難しい事だった。
医女たちもまだ医女見習いのチャングムがでしゃばって、わきまえないと言うのだが、ヨリは、そうではない、納得が行かないなら自分もチャングムと同じ様に意見しただろうし、なにより自分の見落とした事をよく見つけてくれた、とまで言うのだった。 ウンベクは意見が分かれたため、もう一度ヨリとチャングムに皇后の脈診をさせる事をていあんする。医務官たちも全員立ち会った。それは、もしもチャングムの診立てどおりだったとしたら、皇后の命に危険が及びかねないからだった。再度皇后の脈診をしてみたがやはり、ヨリとチャングムの診立ては違っていた。どうしたものかと皇后担当の医務官ウンベクはイクピルと相談したが、ヨリの診断で処方しても皇后の容態が好転し無かった事もあり、また、チャングムの集中力と能力も知っていたため、チャングムの診立て通りで処方する事に決めたのだった。医局の会議でチャングムの診立てに応じて薬を処方したウンベクに医局長は本当にそれでよいのかと問いただす。ヨリの診断よりチャングムの診断を選んだという事になるからだった。また、皇后への鍼治療を施す為、ツボを指示しようとするウンベクにヨリは自分の信じた診断でないので、自信を持って鍼を打つ事が出来ないと針治療を拒否する。
チャングムに鍼治療をさせてみてはどうかと提案するのだった。ウンベクはまだ経験の浅いチャングムが皇后に鍼を打つ事は無理だという。しかしヨリは自分も早い頃から鍼を打ってきたので、チャングムに任せた方が良いと固辞するのだった。事態を知ることになったミン・尚宮はチャングムがまた騒ぎを起こしたと心配する。ヨンセンもチョン最高尚宮へチャングムを助けてくださいと祈るのだった。チャングムは皇后への鍼治療を無事に終え、薬を与えていたが、数日たつのに皇后には何の変化も現れなかった。やはり見習いの診立に従ったのが間違いだったのではと憂慮し始めた所、皇后の様子が変化し、お腹で死んだ胎児を流産したのだった。これにより、皇后の容態が好転し、ひとまず危険は脱したのだった。これによりヨリの誤診が明らかになった。医局でヨリは自分の未熟さゆえの誤診なので、罰としてヘイミンソへ送ってほしいと懇願する。しかし、医局長を初め皆そこまでしなくてもと言う意見が主流を占めた。ヨリはそれでは納得が行かないので罰として当直をしばらく勤めると申し出るのだった。医女たちはヨリの態度が謙虚だと噂をするのだったが、ヨリはチャングムと二人きりになったとたん、態度を一遍、「恥をかかせてくれたわね」と言うのだった。
皇后の容態はひとまず安心と言う事になったのだが、これら一連の事から、宮中からチャングムを追い出す事が難しくなったとチェ尚宮に報告する医局長だった。さて、済州島より都へ出てきたチャンドクは診療所を設けて診療を始めていた。丁度歯の治療をしている所で、治療を受けた患者も済州島には優れた歯の治療をする医女が居るという噂だったが本当だったと喜ぶのだった。宮中での勤めを終えたチャングムはチャンドクの診療所を尋ねた。チャンドクは、自分は中途半端は嫌いなので、これからもチャングムに指導すると意気込みがすごい。宮中の勤めが休みの日は診療所へ出てくるようにと言うのだった。さて、王宮では王様に国防強化のため、功臣田の十分の一を国に返納するという提案がなされていた。貧しい民の税金ではなく、国の為を思った臣下が国防増強のために返納するのだから喜んで応じるだろうというのだった。オギョモは臣下の中で一番功臣田を所有していた。当然面白くない。チャ・チャンソンのやつめ、とオギョモはネグミの長官を更に目の仇にする。奥では 体調が良くなってきた皇后が自分の治療をしてくれていたのが、いつものヨリではないことを意識が朦朧とした中で感じていた。
それが見習いの医女であると知り、礼を言わなくてはならない、今度その見習いの医女も一緒に連れてくるようにと言うのだった。ヨリは一瞬 面白くないといった表情をする。 さて、王は進言された功臣田返納の話に同意する。しかし、オギョモ一派がどのような反論に出るのか分らないとチャ・チャンソンは憂慮していた。所が地方の家臣や識者たちから続々と国防増強の為なら喜んで返納するという所管が届いているという事態が起きていて簡単に反論が出来ない状態になっていた。そこで、一計を案じる チェ女官長とオギョモだった。いかなる王さまでも、母である皇太后の意見には反論できないという物だった。折も折、内医院(ネイウォン)に皇太后が病気の治療を受ける事を拒否したと言う知らせが入る。王もその知らせを聞き、急ぎ皇太后のもとへ出向くのだった。皇太后担当の医務官シン・イクピルもこのまま治療を受けないと容態が悪化するため、治療をお受け下さいと皇太后に進言するものの、断固と拒否する皇太后。王も皇后とともに皇太后のもとへかけつけ、治療をお受け下さいと訴える。ところが皇太后は 医務官のイ・ヒョヌクを罷免した上に、イクピルの様な粗末な医務官を自分に差し向けたと言う。一体どうしたというのだろう。

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